涙は涙腺(上まぶたの外側部深部に存在)から産生され、眼表面を潤し、まぶたの内側にある涙点を通って、涙小管、総涙小管、涙嚢、鼻涙管を通り、鼻内へと排出されます。涙点から鼻涙管までを涙道と呼びます。水道に例えますと、蛇口から水が出て、排水管から水が流れ出ていきますが、涙道は排水管にあたります。長年使用すると排水管も汚れがたまり、水があふれてくるように、涙道でも同様のことが起こり、なみだ目となります。治すためには排水管の掃除が必要であり、実際の治療では内視鏡という細いカメラで涙道の中をのぞきながら詰まりを取り、最後にチューブを留置します。その他に鼻内への流れ道を直接作る手術などもあります。
生まれつき涙道が詰まっていることもあります。10人中1人くらいの赤ちゃんは、生後2,3週間しても鼻涙管開口部は閉塞したままで、流涙、眼脂を認めるようになります。生後1年以内に自然治癒する事が多い(自然治癒率は約90%)ことがこの疾患の特徴です。よって、生後6〜8カ月頃までは涙嚢部をマッサージしながら様子をみることが多く、症状が強い場合に、希望に応じて局所麻酔下で開放術を行います。抗菌点眼薬は眼脂が膿性になり、結膜に充血を認める期間のみ使用します。2歳までは自然治癒することもあるので、それまで経過観察でもよいですが、それ以降は自然治癒する可能性は低く、全身麻酔下での開放術(鼻内視鏡、涙道内視鏡併用)が必要になることが多いです。